神楽坂毘沙門寄席 第19回 「菊之丞の会」  レポート 2010/12/09

第19回「菊之丞の会」-320

神楽坂毘沙門寄席 第19回「菊之丞の会」10/12/9

毘沙門寄席登場2回目の入船亭辰じんさん。前回同様「携帯電話等、音の出る~」の諸注意を高らかに発したあと、「金明竹」を基本に忠実に丁寧に演じてくれました。前回からの確実な成長振りを窺わせます。

菊之丞師匠の一席目は、思いつきで鍼を始めた道楽者の若旦那と、そのお相手に指名された幇間が騒動を巻き起こすお馴染み「幇間(たいこ)腹」。壁、猫に続いて一八に白羽の矢が立ったからサァ~大変!何か企みがあるときの若旦那の怪しい目つきが笑えます。このネタをすっかり自分のものにしている師匠の余裕を感じました。

ワインの出たお仲入り後のゆる~い雰囲気のなか、奇術のアサダ二世さん登場。記憶にあるアダチ竜光さんそっくりで驚きました…お若い方はご存知ありませんよね。客席と世間話をしながら、凄いこと何気なくやってしまう芸の力に感心。カードマジックに続き、穴が開いたはずのお札を元通りにして、会場は「エー!?」の声と拍手喝采に包まれました。

菊之丞師トリの一席は「心眼」。先代桂文楽師匠十八番の大ネタです。目が開くようお薬師様に願掛けをする按摩さんの梅喜、それを支える健気な女房お竹の、仲睦まじい夫婦の人物像が巧みに演じられます。ちょっとした浮気心から怖い夢を見てしまった梅喜は、今の幸せに改めて気付かされてしまいます。殿方、どうぞ御用心!終演後のお話で分かりましたが、今日がネタ卸しだったとのこと。初挑戦の緊張感を乗り越えながら芸域を拡げていく、噺家さんのプロ根性を垣間見ることができました。

暖かな歳の瀬です。来年のことを言っても鬼も笑わない時期になってしまいました。明るいニュースの少ないこの頃ですが、来る年も「笑いは活力だ!」を気合にしたいです。

神楽坂がん子