神楽坂毘沙門寄席 第16回 「菊之丞の会」  レポート 2009/12/10

第16回「菊之丞の会」-320

第16回「菊之丞の会」09/12/10

開口一番は小朝師匠の三番弟子、春風亭ぽっぽさん。高座に登場と同時に会場からは「可愛らしい~」の声が。師匠も十八番の「金明竹」を歯切れ良く元気いっぱいにこなしてくれました。これからが楽しみな前座さんです。

「いよっ!待ってました」の声が飛び、菊之丞師匠の登場で会場の空気は一層華やかに。若旦那の恋わずらい解消に、幼馴染みの熊さんが大奮闘する「崇徳院」です。上下の歌の句をやり取りして恋心を伝え合うなんて…ロマンチックな時代があったもんです。財布、煙草入れ、短冊と手拭一本で表現する、巧みな芸が披露されました。

私の世代にはお馴染みのニューマリオネット。子供の頃からご夫婦二人の息の合った操り人形の芸が大好きでした。今回は伊原寛さんお一人で軽妙なおしゃべりの後、小原庄助さんが酔っ払ってゆく過程がユーモラスな「会津磐梯山」と、ドジョウすくいの腰振りが愉快な「安来節」を演じて、満場は拍手喝采の渦と化しました。体調によりお休みされていると聞く奥様も戻って来て、またお二人の元気な芸を是非見せていただきたいものです。

トリは菊之丞師の「井戸の茶碗」。登場人物が皆、正直者で善人という講談ネタにもある人情噺です。それぞれが潔癖なまでの生き方を貫くストーリーは、年の瀬の締めくくりに相応しくハッピーエンド。武士と町人の人物描写に芸の力量が発揮されました。

今年一年を象徴する漢字は「新」が選ばれました。来る年も気分を新たに「笑門来福」と行きたいですね。皆様良いお年をお迎え下さい。

神楽坂がん子