神楽坂毘沙門寄席 第25回 「志らく四季の会 秋の部」  レポート 2009/10/29

第25回「志らく四季の会」-320

第25回 志らく四季の会 秋の部 09/10/29

今回もスターターは元気にらく太さん。いきなりの言い立てで「ガマの油」の売り口上です。大道芸でお馴染みの迫力ある口調に拍手が沸きました。

続いては志ら乃さんで「湯屋番」。放蕩三昧の末に勘当されてお湯屋に奉公することとなった若旦那を、志ら乃流では今風の話題を挟みながら速いテンポの大熱演でした。私とすれば、のほほ~んと浮世離れした滑稽味が自然ににじみ出る若旦那も好きなんですが。

一席目の志らく師匠は「道灌」。初めてこのネタを高座にかけた前座時代の思い出を語りながら噺に入っていきます。それにしても世界の名画を評する八五郎の鑑賞眼は天才的です。「麗子像」が戸塚ヨットスクール校長にされて会場は大爆笑。岸田劉生画伯がこの話を聞いたらどう思われるでしょうね?

ワインサービスのお仲入り後は志らく師の「中村仲蔵」。落語家になって25年目にして覚えた一番の大ネタとか。志らく流の仲蔵がどんな演じ方になるのか大いに楽しみにしていました。その見せ場のなさから「弁当幕」と言われていた忠臣蔵五段目に、果敢に挑戦して新しい斧定九郎をつくり上げるまでの迷い、苦労をじっくりと聴かせます。先日お亡くなりになった三遊亭円楽師匠も十八番にされていましたが、私は先代の林家正蔵(彦六)師匠のこの噺に感動したことが忘れられません。やはり話術の技量以上に、その年齢にならなければ演じられない何かがあるんでしょうか。10年、いや20年後にも志らく師の仲蔵を是非聴いてみたいものだと感じました。

「まち飛びフェスタ」真っ最中の神楽坂です。連日の暖かな日和の中、まちの文化祭は多くのお客様で賑わっています。

神楽坂がん子