神楽坂毘沙門寄席 第24回 「志らく四季の会 夏の部」  レポート 2009/07/09

第24回「志らく四季の会」-320

第24回 志らく四季の会 夏の部 09/7/9

蒸し暑い時季にふさわしく、開口一番はらく太さんの「青菜」。お酒を冷たくして、鯉の洗い、菜のおひたしと、昔から涼を呼ぶ食の工夫があったんですね。愉快な登場人物一人ひとりの人物描写が見せ場です。志らく師匠評して、「登場者が全部らく太自身に見える。落語は難しい」とはその通りかと…でも、それが芸の修行です。

毘沙門寄席久しぶりの志ら乃さん登場で「笠碁」です。以前より落ち着いた感じを受けました。仲良し碁敵の意地の張り合い~喧嘩~仲直りまでが、二人の会話と表情の変化で軽妙に展開されます。「わがまま!ヘボ!ザル!頑固!」と罵り合うくだりでは、ガンコ、ガンコと私が叱られているようで、思わず小さくなってしまいました。

志らく師は本題前に実話「石神井公園のケーキ屋」。どこかにいそうな変わった人物が登場して場内大爆笑!続いては愉快な酔っぱらいと小僧さんとの掛け合いがユーモラスな「居酒屋」。先代の金馬師匠の十八番だったのは有名です。でも志らく流では破天荒に、新潟の幻の酒「コシノ…」と来て、寒梅でなくジュンコに行ってしまいます。次に何が飛び出すか予測不可能なのがこの師匠の「味」です。

志らく師のトリは「たちきり」。若旦那と芸者さんの純愛物語は、和事のお芝居を思わせる上方落語です。三味線の鳴物が入るオリジナルを変えて、若旦那と幽霊の小久とを再会させるという師匠独自の展開で聴かせます。会えない淋しさで病に伏して死んでしまうなんて…今どきの娘さんには「チョー信じらんな~い」お話です。

降らなかったものの、梅雨の最中らしい空模様でした。夏本番はもうすぐ。毘沙門天境内のほうずき市、神楽坂阿波踊りの賑やかな頃となります。

神楽坂がん子