神楽坂毘沙門寄席 第23回 「志らく四季の会 春の部」  レポート 2009/04/23

第23回「志らく四季の会」-320

第23回 志らく四季の会 春の部 09/4/23

“志らく四季の会”不動のトップバッター、らく太さん。毎回、開口一番の前座さんはさぞやり難いことと思いますが、さすがに回を追うごとに落ち着きが出てきました。噺は「転失気」。和尚さんの知ったかぶりが滑稽な大騒動を招きます。

いつもの志ら乃さんに代わって志らべさん、毘沙門寄席初お目見えです。季節はやや過ぎましたが、「長屋の花見」。風邪に負けない大熱演で、大家さんと店子のやりとりが笑いを誘います。貧乏でも明るくやらなきゃね…と私にも思わせてくれました。志らべさん、良く通る声と面白さで神楽坂合格です!またの出演をお待ちします。

志らく師匠登場。いつもながら多分野におよぶマクラがどっさりで、どこから本題に入るのか、時間は大丈夫なのかしらなどと、つい要らぬ心配をしてしまいます。「子ほめ」はお馴染みの前座噺ですが、談志師匠の前で怯えながら覚えたときのエピソードもはさんで、いかにも志らく流になっていたのは流石でした。ジャズサックス界の巨匠ナベサダも、この噺家さんに掛かるともうイヤハヤ…

ワインの香りが充満したお仲入り後、志らく師のもう一席は「付き馬」。廓噺らしい良くできたストーリーです。吉原の若い衆を騙し続ける悪い客なのに、妙に憎めなく思わせてしまうのが演じ手の力量です。大門から廓外へ出て、仲見世を抜けて田原町までの道筋が目に浮かびました。早桶を背負わされた上に馬まで引き連れて帰ってきた若い衆は、この後どうなったんでしょうね?

書院ホールから毘沙門天境内に出ると新緑の空気が香りますが、初夏の陽気に春の肌寒さが残る不順な毎日です。皆さま風邪など召されないようにご注意を。

神楽坂がん子