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第九回菊之丞の会

開口一番、生ねんさんの「狸の鯉」です。命を助けられた狸の恩返しの噺がいくつかある中では、余りお馴染みでないように思われます。とぼけた表情と声の張りに将来性を感じます。年明けからは二つ目、「柳家わさび」になられるようです。先が楽しみですね。

菊之丞師匠の一席目、お馴染みの「道具屋」です。もっと短いネタだと思っていましたが、こんなに長く面白く演じられたのは私にも初めてでした。何でもオモシロ道具にしてしまう与太郎は、ウイットに富んだかなりの知恵者ですよね。借りた毛抜きでアゴヒゲを全部抜いてしまうおじさんにも、大笑いしてしまいました。

仲入後の松旭斎美智さん、黒のドレスで華やかに登場です。改めて感じましたが奇術は話術。お客さんとの巧みなやり取りには、ベテランならではの味が遺憾なく発揮されていました。神楽坂三丁目の和風スナック「よい処 今夜」の女将さんでもあるんですよ。

菊之丞師の「お見立て」がトリ。喜瀬川花魁と杢兵衛さんの間をウロウロする喜助どんの、心理描写と細かい滑稽な所作の表現が見事です。廓噺にとてもいい味を出してくれる師匠には、ここ「菊之丞の会」でまだ聴いていない吉原や岡場所の噺を大いに披露していただきたいですね。

はや師走ですが、年々どこでも歳の瀬の情緒が薄れてきています。来る年も毘沙門寄席で、良き昔からのお笑いを皆様と楽しみたいと思います。

文 : 神楽坂がん子


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