神楽坂毘沙門寄席 第37回 「菊之丞の会」  レポート 2016/04/21

第37回菊之丞

神楽坂毘沙門寄席 第37回「菊之丞の会」 2016/4/21

幕開きは柳亭市丸さん。今や落語協会会長だけでなく、歌手としても大活躍の市馬師匠五番目のお弟子さんです。親をまんまとやり込める口達者な子供が主役の、『真田小僧』で開口一番。豊かな声量に将来性を感じました。丁寧なお辞儀の姿勢も綺麗でしたよ。

菊之丞師匠登場、白っぽいお召物と明るい色の羽織が季節を先取りした感じで、高座がパッと明るくなりました。演目『唖(おし)の釣り』の言葉は、現代では放送禁止用語に分類されて、なかなか聴くことのできなくなったネタかと思います。釣り好き七兵衛さん、殺生禁断の不忍池での鯉釣りを見廻りの寺侍に突然叱責され、驚きで言葉を失ってしまいます。そのあとの珍妙なジェスチャーでの言い訳が、場内の爆笑を誘いました。

ワインとソフトドリンクサービスでのお仲入りの後、二席目は『妾馬』。紫のお召物に袴姿が決まっています。妹のお鶴が殿様のお世継ぎを産んだことで、お屋敷にお呼ばれとなった長屋の八五郎、重役や殿様とは言葉が通じず、食い違う会話のやり取りが滑稽です。酔った勢いで、身分の違いから孫に会えない母親の辛さを語る場面では、情愛を漂わせてホロリとさせます。かなり以前にも師匠のこの噺を聴きました。失礼かとは思いますが、そのときよりも格段に熟達されていることに驚きました。噺家さん自身の人生経験が、より魅力的な味わいを醸してくれる落語という古典演芸の奥深さを、改めて感じています。

お客様のお陰をもちまして、毘沙門寄席「菊之丞の会」も10周年を迎えました。神楽坂では以下の催しが企画されています。詳しくはまちの各ご案内をご覧ください。
◆今年も古今亭菊之丞プロデュースの「第8回 神楽坂落語まつり」が、6月25日(土)と7月2日(土)に開催されます。いま注目の噺家さんが豪華勢揃いです。
◆小森 傑(すぐる)さん(写真中央)の似顔絵でお馴染みの「菊之丞の会」ポスター展。第1回からの全作品が並びます。ウェブサイトでもご覧いただける予定です。

神楽坂がん子