神楽坂毘沙門寄席 第31回「菊之丞の会」 2014/4/10
前座修行中とおでこに書いてありそうな生真面目青年、柳家小かじさん初登場。三三師匠のお弟子さんです。開口一番『道灌』で元気よく笑わせてくれました。また来て欲しいと思わせる体格の良いクリクリ坊主さんでした。
菊之丞師匠、縞の着物でにこやかに高座へ。「8億円借りてみたいですね~」と、いきなり社会風刺をチクリ。私たちの世界とは桁が違う金額がケータイメール1本で行ったり来たりって、信じられな?い。お馴染み『寝床』の面白さは、義太夫狂いの大店の旦那の表情変化のプロセスとでもいいましょうか。ウキウキと自分の義太夫の会を準備していたはずの顔から、誰も来たがらないことで怒り心頭へと一転。そこからまた機嫌を直し、相好をグズグズに崩していく様子の描写が見せどころ、聴かせどころでした。中央最前列で熱心に聴いていたかわいいお客さんがいたので、写真に入ってもらいました。「あすこはアタシの寝床なんでございます」と泣いた定吉どんは、このくらいの坊やだったんでしょうね。
今回もワインサービスのお仲入り。続いての二席目は三遊亭圓朝作『死神』です。六代目圓生師匠の代表ネタでしたね。会ったこともないはずですが、何となく死神さんの風貌が目に浮かび怖かったものです。演じる噺家さんと時代に合わせて、死神を追い払うおまじないの文句が変わります。「アジャラカモクレン○○○○、テケレッツノパー!」の○○部分には、この日は話題のリケジョの名前が入って、場内がドッと沸きました。こんな風に病気が治せたら最高ですよね。
桜も散って乾燥した好天が続いています。夜はまだまだ冷え込みます。公演のあとで一杯のお父さんたちもほどほどにご帰宅を。第6回「神楽坂落語まつり」は、6月28日(土)と7月6日(日)に開催されます。またどうぞお楽しみにお運びください。
神楽坂がん子