神楽坂毘沙門寄席 第38回 「菊之丞の会」  レポート 2016/10/08

第38回菊之丞

神楽坂毘沙門寄席 第38回「菊之丞の会」 2016/10/6

開口一番は桃月庵はまぐりさん。神楽坂落語まつりでもお馴染み、桃月庵白酒師匠の一番弟子です。ちなみに二番弟子が「ひしもち」とはユニークですね。『手紙無筆』を基本に忠実に演じてくれて、その真面目さが爽やかな印象でした。経験を積んで良い噺家さんに育ってくれることでしょう。

菊之丞師匠は秋らしい縞の装いで高座に。一瞬にして場内の空気が変わります。落語の世界では常連の与太郎が『道具屋』で登場します。露店商ならではの「ゴミをはたく」「値を踏む」など独特の符丁が興味深く、与太郎とお客さんとの噛み合わない会話が笑いを誘います。舞台を現代のフリーマーケットに代えて新作落語にしてみたら…と想像してしまいました。

毎度のワインとソフトドリンクサービスのお仲入りで、会場の雰囲気もグッと和やかになりました。怪談噺の緊張感をヴィジュアル面からも高めようとの演出か、黒羽織の紋付姿の師匠、二席目は『もう半分』。酒飲みのお爺さんは、娘が吉原に身を売ってこしらえてくれた五十両をネコババされてしまいます。ワルに豹変する飲屋の女将さんの人物描写とセリフが秀逸でした。それにしてもお爺さんソックリの赤ん坊が、旨そうに行燈の油を飲むところは…おお怖っ!です。

ようやく東京も秋めいてきて、外歩きにも快適な季節となりました。10月15日(土)からの「神楽坂まち飛びフェスタ2016」、11月12日(土)、13日(日)の「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2016」と、この秋の神楽坂でも楽しみな催しが目白押しで、日本の伝統芸能や、落語、講談などの演芸もたくさん用意されています。詳しくはウェブサイト、パンフレット、ポスターなどの広報をご覧ください。

神楽坂がん子