神楽坂毘沙門寄席 第40回「菊之丞の会」レポート (2017/4/20)

第40回菊之丞

神楽坂毘沙門寄席 第40回「菊之丞の会」 2017/4/20

今回も満員御礼札止めの盛況。開口一番は入船亭辰のこさんで『初天神』です。生意気盛りの金坊、食べ物への恐ろしいばかりの執着心からの強情な表情が笑いを誘います。辰のこさんは第36回に続き二度目の出演。若い噺家さんが高座の経験に芸の精進を重ねて一回り大きくなった姿を見せてくれるのは、いつも何だかこころワクワクです。

「待ってました!」の声がかかり、菊之丞師匠にこやかに高座へ。一席目は『崇徳院』。「瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思う」…切なくもロマンチックな恋の歌です。この歌が書かれた短冊を渡してくれたどこかの娘さんに思い焦がれて、若旦那は寝込んでしまいました。これを助けようと大工の熊さんは尋ね人探しに奔走します。スマホやGPSの出現で今では流行らなくなりましたが、恋患いとスレ違いは恋愛ドラマに付き物でした。

お馴染みのワインとお茶のサービスのお仲入り後、紫の小紋柄にお召し替えの菊之丞師の二席目は『不動坊』。もとは上方古典落語の人気演目です。長屋の独り者は花嫁のお輿入れを前に、空想がどんどん膨らんでお湯屋で一人芝居の大騒ぎ。この辺りは師匠十八番の「湯屋番」の若旦那を彷彿とさせます。後半に登場する幽霊役に、「林家正雀の弟子でビョウジャクってのがいるから」と噺家が頼まれますが、「猫雀」って書くなら何だかカワイイな…なんて考えました。

次回の第41回「菊之丞の会」の開催日が、9月28日(木)と早くも出ています。今はまだ随分と先のことのようですが、またそのころには「あれっ、もう」といつも思ってしまいます。どうぞご予定を。それから6月24日、7月1日の「第9回神楽坂落語まつり」のチケットが好評発売中です。お陰様ですでに完売の部もありますが、ご確認の上どうぞお運びくださいませ。

神楽坂がん子