神楽坂毘沙門寄席 第47回「菊之丞の会」レポート (2019/10/3)

第47回菊之丞

早くも今年最後の「菊之丞の会」です。開場前から多くの皆様が行列の盛況です。すっかりお馴染みになった前座の豆菊さんは、回を重ねる度に確かな成長がみられます。『一目上がり』で幕が開きました。張りのある声で汗びっしょりの熱演でした。

淡い紫のお召物にクリーム色の羽織姿の菊之丞師匠、一席目は『長短』です。せっかちな江戸弁とは対極の、まったりとした上方弁にも笑えます。短めの噺で早めのお仲入り…と思いきや、嬉しいことにもう一席、『浮世床』が続きました。床屋はお湯屋などと並び江戸庶民のコミュニケーションの場だったようです。「太閤記」の拙い読み聞かせが滑稽です。寝起きの半公の色っぽい夢物語には聴き入ってしまいましたが、オチにはなるほどやっぱりねとの爆笑が起こりました。

笑って心も軽くなると、毎回のワインやお茶のサービスがより美味しく感じます。お仲入り後は『抜け雀』。つい立てに描いた雀が飛び出すご存じ名工ネタの一席です。サラサラッと絵筆を走らせた後、二人の絵師がその完成度を確認するために、ジッと真剣な瞳を凝らす場面がとても印象的でした。ラジオ放送やCDでは気付けない、高座を観た人だけが味わえる芸の細かさです。

この日は開演前の寄席太鼓を、菊之丞師自らがお弟子さんの豆菊さんと叩いてくださったとのこと。この会を大切に思う師匠の心意気が伝わりました。
次回は2020年1月29日(水)が予定されています。新年の笑門来福で良い一年となりまよう。皆様のお運びを心よりお待ち申し上げています。

秋恒例の「神楽坂まち飛びフェスタ2019」は、10月12日(土)~11月3(月・祝)に開催されます。詳しくは町で配布中のパンフレットか以下のサイトをご覧ください。
http://machitobi.org/

神楽坂がん子