神楽坂毘沙門寄席 第53回「菊之丞の会」レポート (2023/4/20)


第53回菊之丞の会

毘沙門様境内の藤もあっという間に散り始めました。寒かった冬からいきなり初夏の陽気下での「菊之丞の会」は、今回も満員の盛況となりました。
前座は茨城出身、県下一番の進学校から早大政経学部卒業後、イギリス留学などを経て小せん師匠に入門という経歴の、柳家ひろ馬さんで『浮世根問』。指先をきちんと揃えた美しいお辞儀と口跡の良さに好感が持てました。

菊之丞師匠の藤色の羽織と対のお着物姿で高座はパーッと明るくなって、一席目は『山崎屋』。前半部分で、今は別の噺として演じられる「よかちょろ」が入りました。古典落語では現在は使われなくなった昔の言葉が多く出てきます。それらを仕込む(説明する)ことにより展開のリズムが間延びすることを避けたい、という師匠の工夫だったようです。大旦那であるお父っつぁんと吉原から嫁入りした元花魁との、妙に噛み合わないやりとりが滑稽な大詰めの下りが割愛されましたが、私としては正直、ここも聴きたかったなと感じました。

二席目では濃い紫の小紋柄のお召に黒羽織のシックな装いです。お馴染みの『お菊の皿』。陰に籠っていたお菊さんが人気スターになってすっかり血色も良くなり、登場の仕方からクサい芝居のように変わるところが爆笑を誘います。怪談噺も落語で聴けば、怖がり屋さんもヘッチャラですよ。もっとも圓朝作の本格的演目などはやっぱりコワ~イ。

初夏の神楽坂はイチ推しの催しが目白押し。5月20日(土)、21日(日)の『神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2023』に続き、6月25日(日)、7月1日(土)の『神楽坂落語まつり』が開催されます。詳しくはWEBやチラシでご覧のうえ、皆様どうぞお楽しみにお運びください。

神楽坂がん子