はや初夏の香りが感じられ、毘沙門天境内の藤の花もまもなく開きそうです。
開口一番は柳家小せん師匠の門下、柳家小じかさん。笑顔ばっちりのポニーテールで登場。充分過ぎる声量で『一目上がり』を好演。床の間の掛物の褒め方など、落語は勉強になりますね。ただ付け焼刃はなんとやら…調子に乗ると恥をかいてしまいます。毎回、将来が楽しみな若手が続きます。
菊之丞師匠は粋な縞の着物に濃紺の羽織姿、一席目はお馴染み古今亭十八番の『火焔太鼓』。ボーッとした亭主としっかり者女房の会話のやりとりなどには、私も大好きだった圓菊師匠の所作と口調が感じられ、思わず懐かしく感じながら大いに笑いました。「この噺は直に教わったものですから」と菊之丞師はおっしゃってました。
黒紋付羽織に紫の着物の師匠、二席目は『百年目』。元々の上方噺の中でも大ネタで、菊之丞師匠のを楽しみにしていました。賑やかな鳴物と船場大店の旦那の上品な浪花言葉が印象的な、桂米朝師匠の高座は今でも忘れられません。今日の師匠も「旦那」という言葉の由来を説く下りで、無言のまま大番頭さんに静かにお茶を淹れてあげる所作が秀逸で、実直で使用人思いの粋な江戸の旦那を彷彿とさせてくれました。一方の大番頭さんも部下を叱ってばかりでコワいだけに見えますが、これも商人としてはプロ中のプロ。今どきの経営者からは上司にしたい有名人に推されるかも。
新緑の候となりました。この後も神楽坂では5月18(土)、19日(日)に「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2024」。6月22日(土)、29日(土)には「神楽坂落語まつり」と恒例のお楽しみの催しが目白押しです。
次回の「第57回菊之丞の会」は10月16日(水)が予定されています。皆様どうぞお誘い合わせの上お運びを。
神楽坂がん子