神楽坂毘沙門寄席 第57回「菊之丞の会」レポート (2024/10/16)

10月というのになかなか秋を感じられませんが、今年最後の「菊之丞の会」です。前座さん桃月庵ぼんぼりさんの登場です。『牛ほめ』を声量豊かに好演。雰囲気がホンワカ可愛らしく、卓球の張本兄妹のお兄ちゃんをふくよかにした感じです。それにしてもいつもこの噺では気になります。伯父さんは何故牛を飼っていたのか?畑を耕すのか、牛乳を搾るためか、まさか焼肉で食べちゃうの?

上品な色味の着物と羽織姿の菊之丞師匠の登場です。古来より我が国では情緒豊かな色の呼称があり、この少し緑がかった灰色は「利久鼠」。和服特有の繊細な色合いは素敵です。一席目は『目黒のさんま』。この噺を知らないまま、毎年目黒で開催される「さんま祭」に行く人も多いのでは?普段は本当に旨いものをなかなか食べられないお殿様、脂の乗った焼きたてジュウジュウの黒やかで長やかな魚を口にしたときは、さぞかし幸せを感じたことでしょう。シモジモの者で良かったとつくづく思います。今年の秋刀魚は豊漁で昨年よりも少しふっくらしているとか。明日のおかずは決まりですね。

紫の小紋に淡い薄桃色の羽織で再登場。二席目は『付き馬』が出ました。師匠の廓噺では、妓楼の妓夫太郎の様子がいつも活き活きとテンポよく表現されます。いつの世も悪質な詐欺事件は起こるものですが、落語の世界ではこのワルの遊び人も何故か憎み切れないのが不思議なところ。「おじさんてぇから返事したんだ。おばさんて言われりゃ~」のところでは、会場全体が爆笑となりました。

「2024神楽坂まち飛びフェスタ」は11月3日(日)まで開催中。商店や町中で配布中のパンフレットには、最終日の「坂にお絵かき」まで楽しい催しが満載です。

次回の「第58回菊之丞の会」は来年1月23日(木)が予定されています。どうぞ皆様の新年のお楽しみに、お誘い合わせの上お運びください。

神楽坂がん子