第5回 辰鳥跡をにごさず 白鳥・扇辰二人会 2010/5/27
久々の毘沙門寄席は扇辰師匠で幕開けです。怠け者の与太郎を世話する杢兵衛さんは、お前も商いをしてみろと勧めます。お馴染み「道具屋」は、ポワ~ンとした与太郎と同業の友蔵さんとの掛け合い、暇つぶしに立ち寄る客とのちぐはぐなやりとりが滑稽です。
続いての白鳥師匠、ワールドカップサッカーいよいよ間近を意識してか、お得意のアディダス着物の奇抜なスタイルで登場。演目は「ラーメン千本桜」。ご本人曰く、これは超大作とのこと。お仲入りを挟んで前・後編の二部に分けての長講です。
今は公園でラーメン屋台店主の高島裕次郎は、大手ラーメンチェーン「ゲンちゃんラーメン」の次男であり、東京ラーメン戦争を制した男であった。兄である慎太郎との確執から家を出て今の姿に…と、劇的なストーリー展開の予感。でもやっぱり珍妙な爆笑場面の連続。多くのハチャメチャな人物が登場するため、師匠もとうとう混乱か?名前をトチッてのやり直しがまたまた大笑いを誘いました。
後半は、いよいよ東西ラーメン王決定戦で九州ラーメン「平田屋」との対決。火傷を負わされた慎太郎に代わり試合に挑む裕次郎にも、難局が待ち構えます。自信のスープに小細工され窮地に陥りますが、小学生の弟子の一言からアメリカンドックを利用するという奇抜なアイデアで見事に優勝。兄弟間の確執も解けめでたし、めでたしのエンディングに会場は大喜びでした。まぁ、あんまり食べてみたいラーメンではありませんでしたがね。
トリは扇辰師の「五人廻し」。昭和の名人たちの名演も多く録音に残る、おかし味たっぷりの廓噺です。花魁がなかなか自分の部屋に現れないのを待ちくたびれた客たちが、口々に「玉代返せ」とこの店の若い衆(マネージャー)相手にクレームをつけます。職人・官吏・田舎モン・粋人と様々なタイプの客が、人物描写の巧みさで演じ分けられます。いやはや昔も今も接客業は大変ですね。
満員のお客様にも長袖とジャケット姿を多く見かけましたが、入梅前の肌寒い晩でした。
神楽坂がん子