毘沙門寄席 第15回「菊之丞の会」09/9/24
開口一番の前座さんは、毘沙門寄席三度目のお目見え古今亭志ん坊さん。張りのある声で「無精床」を元気いっぱいに演じます。志ん坊さんのヘアースタイルはといえば、坊主頭に刈り込んで一休さんみたいでした。
菊之丞師匠一席目は幇間(たいこもち)一八の滑稽顛末記、「鰻の幇間(たいこ)」。旦那を取り巻いてゴチにあり付くつもりが散々な目に。騙されたことに気付いてから腹いせに当り散らす一八の愚痴が聞かせどころ。仲居さんへの八つ当たりは、水っぽい酒、薄く切った新香、コシの強い鰻、悪趣味な絵柄の徳利とお猪口について、と続きます。
仲入り後は奇術のダーク広和さん。パッと見には人の良さそうなニコニコしたオジサンです(失礼!)。ところがいとも簡単に凄いマジックを地味にやっちゃうんです。「ついて来て下さ~い」の声に会場は拍手と笑いの渦になりました。大喜びのお客さんの反応を高座側から感じたダークさんが、一番嬉しそうな笑顔を見せていました。
さあ、今日のお待ちかね菊之丞師の「品川心中」。吉原の廓噺と違って潮の香りが漂ってくるようです。リバイバル上映で見た日活映画の名作、「幕末太陽伝」を思い出しました。品川女郎のお染さんと貸し本屋金蔵さんとの絶妙なやりとりが、志ん生、志ん朝と続いた古今亭ワールドへと誘ってくれます。
いい季節になって街をそぞろ歩きの人も多くなりました。10月は毎年秋恒例の「まち飛びフェスタ」も開催されて、一層賑やかな神楽坂となります。
神楽坂がん子